2009/9/12-13広告デザインワークショップ「イメージをカタチにする」を開催いたしました!
今年5月に福岡大学で行われ、好評を博したPCJ中西紹一さんのワークショップがついに東京大学でも実施されました。
中西さんはナンバーズやSHARBO-Xを手がけるカリスマ広告プランナーとして知られ、そんなプロフェッショナルの行うワークショップに参加しようと大学を問わず24名の学生(一部社会人)が集まりました。
このワークショップではタイトルの通り、「イメージをカタチにする」ためにどんな発想法を使えば良いか、「カタチにする」とはどういうことかを学び、そして全員で実際に一つの「カタチ」としてある商品の広告をプロデュース・制作する、ということを2日間で行いました。
<1日目>
■見えない側面を引き出す「メディア」 アイスブレイクで、2人1組で相手のイメージがガラリと変わるようなメガネを選ぶ遊びをしました。
全員に相手のイメージが前後でどう変わったかを軽く説明してもらった後、
中西さんから「実はメガネもメディアだ」というお話が。
メガネをかける前と後でイメージが変わる。「こういう人だけど、こういう面もあるんじゃないか?」といったように、パートナーは互いにメガネというメディアを通じて相手の見えない部分、違う側面を引き出していたのです。
メガネ(メディア)自体に意味があることよりも、何を(どんなイメージを)引き出したいかが重要で、そのためには対象をはっきり観察することが大切です。
■発想法:「動詞形のデザイン」と「観察・置き換え」
何かイメージを引き出したい対象を、どのように観察するか。
それが発想法です。
中西さんの発想法のキーワードは、「名詞でなく動詞で考える」と「観察・置き換え」の2つで、 これが今回のワークショップのキーポイントです。
・「名詞でなく動詞で考える」
これまでの考え方だと、何かをデザインするといった場合、
「○○をこういったイメージにする」という名詞形で物事を考えて発想をしてきました。
しかし、これからはそうではなく、
「●●するにはどんなデザインだったら良いだろう?」という風に、
物事に対する動作(動詞形)をとらえ、それをするためにはどんなデザインがいいかを発想していきます。
・「観察・置き換え」
物事を動詞形でとらえたら、対象を良く観察して、既存の動作をどのように変えたらいいかを考えます。そしてそれをどんなデザインにすればいいか、実際の物や形に置き換えてイメージを作ります。
いくつか例を見て、どう発想していくかを徐々に、そして具体的に学んでいきます。
■「シズル感」とその演出 皆さんは「シズル感」という言葉を聞いたことがありますか?
「シズル感」とは広告業界の用語で、食べ物などがいかにも食欲をそそるような見え方をするとき、「シズル感がある」と言うそうです。
わかりやすい例でいえば、炊き立てのご飯から出る湯気やビールを飲んだ後の唸る表情などがそうです。
今回、広告をプロデュースする商品はロッテのアイス「COOLISH」
「シズル感のあるCOOLISHのCMを作成する」
という今回のワークショップのメインの活動が参加者に発表されます。
まずはグループに分かれて、COOLISHのシズル感についてディスカッション。
「COOLISHにはどんないいところがあるかな?」
「COOLISHが食べたくなる時はどんな時だろう?」
などなど、実際にCOOLISHを食べつつ注意深く観察していきます。
しかし、なかなか「これだ!」というようなCOOLISHのシズル感にたどり着けません。
途中、うまくシズル感が演出されている他の商品のCMを参考に見て、
なぜCOOLISHのシズル感が演出しにくいかを考えます。
■キャッチコピーを考えてみよう!
COOLISHは「シズル感」を出すのが難しい!
その理由は、中身が見えないからなのだそうです。
そのため、何かに置き換えをしないと表現できないというわけなのです。
ここから、1日目のメインワーク!
大学生の年代を対象に、
「COOLISHを食べたくなるフレーズ(キャッチコピー)を考えましょう!」
ゲスト参加の広告代理店の方も混じってグループワークを進めていきます。
単純すぎるメッセージでは響かない。狙いを複雑にしても伝わらない。
置き換えはいかにアイデアを思いつくかの勝負なので、
観察して出た意見をもとに、ひたすらキャッチフレーズを練り上げていきます。
プレゼンテーションでは、
各グループともなかなか的を射たキャッチフレーズを編み出して発表してくれました。
中にはCM案まで作成して実演するチームも。
すべての発表が終わると、「どの班も発想が柔軟で素晴らしかった。答えがないものなので、すべて正解だと思う。答えがないものをみんなで考えることが大事です。」と中西さんが締めくくりました。
<2日目>
■プロモーションムービー作成!
2日目は前日に議論したキャッチフレーズなどをもとに、実際にCOOLISHのプロモーションムービーの撮影に取り掛かります。福岡大学で同様のワークショップを実施したときに作られたCMを見て、「さらにいいものを作ろう!」とみな意気込みます。
カット割りの説明や、ムービー・スチール写真・コピー作成などの各担当割り振りを済ませた後、
シチュエーションや演出方法についてグループごとで話し合いを重ねます。
午後になると、一気に撮影開始!
東大(本郷)の構内のあちこちで場所を探して写真や映像を撮っていきます。
(映像編集の関係で音声が使えないので、スケッチブックにセリフやコメントを書きます。)
■夢中になるための条件
撮影や作業がひと段落して、中西さんが映像編集をする間、しばしのリフレクションタイム。
2日間のワークショップを振り返って、どんな時に夢中になったか、そしてその時の条件はなんだったのかを話し合いました。
このリフレクションタイムを担当した安斎さんが、このことについて詳しく書いています。
こちらをご参照ください ⇒ 夢中になるための条件
■作業報告プレゼンテーション
プロモーションムービーがいよいよ完成!
でもその前に、各チームがどのようなイメージをもって制作にあたったのかをプレゼンテーションしました。
「食べる過程を楽しめるように」「食べた瞬間ONからOFFに切り替わるように」
「他のアイスと比べて、COOLISHの特性を引き出してみた」
などなど、動詞形のデザインがうまくできたみたいでした。
■プロモーションムービー上映
全チームの発表が終わり、ついにプロモーションムービー上映!
肝心なのは、イメージを実際にカタチにできているかどうか…
いよいよ2日間の成果が問われます。
…結果は大成功!
プレゼンしたイメージはもとより、目標だったシズル感もバッチリ出ていてとても素晴らしい作品が出来上がりました。
参加者も感動を隠しきれない様子でした。
歓喜の拍手が鳴りやむと、最後に中西さんから2日間のワークショップを振り返って、
「相手がどう考えているか、このようにイメージをカタチにして振り返ることで一歩前に進めます。
2日間頑張ればこんなにカッコいい作品ができるんです!なので、皆さん自身を持っていいと思います。良く頑張りました!!」 という言葉で締めくくられました。
※なお、ムービーについては使用した楽曲等の関係により公開はできません。ご了承ください。
□■ 編集後記 ■□
私は「イメージをカタチにする」ことはとても大変なことだと思っていました。しかし今回のワークショップで参加者たちが数々のワーク中でイメージを話し合い、カタチづくりで試行錯誤しているのを見ているうちに、「大変だけどその分とても楽しいものなのだ」と直感しました。最後のムービーを見た時の、参加者全員の達成感に満ち溢れた笑顔がそれを如実に物語っていました。
2日間という日程も、当初は長いと感じていたのがうそのように、とても速く時間が流れた気がします。それだけ、一つ一つのワークのなかにたくさんの発見があったように思います。参加者は私よりもっと多くの気づきを得たことだと思います。それは単に広告作りに役立つだけでなく、自分の気持ちや考えを表現するためのスキルや心構えとして生かせることなのではないかと思います。
報告者:市原大輝
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企画運営:森玲奈、安斎勇樹
主催: NPO法人 Educe Technologies
http://www.educetech.org/
共催:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 山内研究室
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/
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